『漁民義人塚』

この曲は、新湊市港町に伝わる「漁民義人塚」にまつわる史実を元に、新湊市市制50周年にちなんでウインドアンサンブル「一期一会」のオリジナルとして作曲しました。
曲は、「夜明け」「密談」「大漁歌」「魚商人」「直訴そして救いの使者」「平和への願い」の6つの場面からなり、それぞれに解説が挿入されています。
ウインドアンサンブル「一期一会」の初オリジナルとして演奏会、新湊地域吹奏楽フェスティバルで演奏しました。


漁民義人塚の所以



 富山県新湊市港町、北長徳寺。ここに祀られているのは、東西放生津の漁師総代、佐賀野屋九右衛門と嵐屋四郎兵衛の二人です。享保三年(1718)二月六日「バンドリ一揆」の首謀者として処刑されました。
 当時漁民を支配していた悪徳商人が、利権のため買い占め・中間搾取など思うままに漁業経済を支配していました。これに不満を持った漁民の間に改革の気運が盛り上がり、ついに、バンドリ姿の漁民四百人が密かに金沢城下に押し掛け、藩の公事奉行に直訴に及びました。これが「バンドリ一揆」と呼ばれています。
 直訴は、当時御法度であり、暴動に参加した全員は入牢、首謀者の二人は斬首の刑に処せられました。しかしこのことが契機となり、放生津漁場が開設され、零細漁民の窮状が救われることになりました。人々は、この二人を「世直し義人」と崇め、手厚く弔ったのがこの墓碑で、墓前には香花が供えられ、旧盆には慰霊法要が営まれます。